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『今こそアーレントを読み直す』仲正昌樹

アーレントの言うことはどっちつかずで中途半端だから、
読者の求める答えが得られにくいかもしれないとのことだが、
少なくとも私には有用で、
スッとするような一つの答えが得られたように思う。

                                          


民主主義的なものが本当に実現していた時代、
古代ギリシアで人々が
「利害関係から自由にポリスの共通善のために討論」
していた時代があった。

この時代では、どの家も奴隷を抱えていた。
経済的なことも含めて、
家のことを任せておけるような召使みたいなものが各家々にいた。

そして主人たる「自由人」という階級にある「市民」は、
利害の呪縛から離れたところで、
純粋に、ただ議論し、日々その腕を磨いていた。

そこでは、
議論は多様性や深みを増すための余地が大きく広がっている。

                                          

翻って、今の時代はどうだろう。

もはや労働を自分の代わりに引き受けてくれる奴隷は存在せず、
自らが働かなければ、日々の生活はままならない。
私たちは皆、利害関係に縛られ、
「マトモな人間性」というものを保つのが非常に難しくなっている。

いくら民主主義だといっても、
直接、間接、問わずそれで利害関係から逃れられるわけではない。
そして今の「代表」というのは、
地域や職種や人種といったものの「利益代表」なのだ。

雇用、貧困、格差、環境など様々な「問題」というのは、
利害関係と密接なものであり、
こういった諸問題を公正に取り扱うことは不可能。
また、同じ利害関係にある人間同士は繋がり合い、
集団同士の対立が常態化する。
「人々の行動が、『経済』的利害を中心に均一化される」

各人が集団の中に埋没し、個性を失っていくことによって、西欧世界の伝統的な意味での「人間性」は徐々に崩壊していく。統計学的に行動が予測できてしまうとすれば、「人間」というより、動物の群れである。(p.106)

                                          

要約じみた文章になってしまった。

最近私が考えていたことを、
この本が代弁してくれたので、かなり助かった。

誤解してもらっては困るのだけれど、
昔みたいに奴隷を使って自由になろうぜ!!
などといったことを考えているわけではないので、
そこのところはご了承いただきたい。

実際、利害関係から離れてたっても、
おばかな市民が煽られることはあったし、
衆愚政治もすでにこのときから言われてたからね。
上で挙げた時代というのは、
いわばパラレルワールドのようなものなのかもしれませんな(笑)


あんまり関係ない話だけど、
奴隷ってのも案外考えようによっては楽そうなものであったりする。
私から見たら。
特に戦争に参加しなくていいあたりなんかが。
市民は全員参加だからね。
それに家の奴隷も仲が悪いとかでもなけりゃ、
そんなに大変そうでもないし。
まあだからといって、
当時の人たちも奴隷の立場のほうがいいと思ってたってわけではなし。


そうだ、この本はとてもいい本だと思うので、
もし興味があればご一読いかがか。
新書はもう二度と読まないで、売るか捨てるかするつもりなため、
普段はいちいち本に書き込みなどをしない私が、
読みながらペンを取った珍しい一冊(笑)
さすがにアーレントを読んでいる人にとってもいい本かは分からないよ。
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以前に鳥取で大きな地震がありましたため、日本一危険な国宝とされるあれ、投入堂はしばらく見ることができないかと危ぶまれてましたが、実は今年の4月に開山されてたんですよね。危険ではありますが上がっていくと見晴らしはすばらしく、一見の価値はあるんではないかと思われますよ。私もちゃんとのぼったよ。

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