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歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』

これからこの本を読もうと考えている人は、
この記事を読まないことをお勧め。



カバー買い。
タイトルが美しい。
装丁も真っ白な背景に、
上から桜が枝垂れて、
下からはにじんだ緑が少し。
さぞおしゃれできれいな
物語であることだろう。

まさか一行目で打ち砕かれるとは思わなかった。
「射精したあとは動きたくない。」
思わず舌打ちをした。
なんてこった。
セックスを中心とした
気だるい現代若者の
恋物語がつづられていくのかと思うと、
私は非常にうちのめされそうになった。

もうこの場で
投げ出すという手もないでもないが、
480ページの文庫で
なかなかの厚さである。
お値段だってちょっと高い。
買ってすぐの本を
そのまま捨てられるほど
私はリッチではなかった。
貧乏性なので
むしろ物をため込むほうが得意だ。
それにもともと
内容のある本を
期待していたのではなく、
本を読んで時間をつぶすことが
大きな目的だったので、
やはり読むしかなかった。

登場人物に
高校生の後輩が現れ、
主人公はその7つ上であるという記述から、
20代前半であるらしいことが見て取れた。
その彼が高齢者をだます
インチキ商売団体の調査を始めた。

なぜか愛用の車は
BMWにわたる前の、
本当にまだ小さかった
あの古い「ミニ」のようだ。
若いからかっこつけに
「ミニ」に乗るのはわかる。
でもその選択は変わっていると思った。

物語は今の主人公だけでなく、
別の人物の視点になったり、
主人公が社会に出たばかりのころの
場面に変わったりもした。
章が変わるごとに
場面が変わったりするので、
ころころ変えてどうしたいんだろう、
何の関係があるんだろう、
とか思った。

結果として、
疑問となっていたことは解消された。
私が第一印象で
気に入っていたタイトルのほうも、
「葉桜」なんてどこにも
でてこないじゃないか、
タイトル詐欺だろう、これ
とか思ってたが、
それも解決された。

読後の感想としては、
なかなか面白かった。
すらすら読み進めるし、
最後の部分には衝撃を受けた。
著者はこのゴールに向かって
ずっと下準備をしていたんだなあと感心した。

ちょうど
お花見シーズン到来という時期だが、
桜の木は花の時期だけ
生えてくるわけではない。
ずっとそこにあった。
でも普段はあんまり
気にしてくれる人もいないから、
花を咲かせる今だけ、
思い切り目立って、
咲き誇って、
花が散ったら
また来年までみんな見なくなる。
見られてなくても、
桜の木は生きている。

描かれた物語は、
主人公の劇的な瞬間をとらえたもの。
彼にはすさまじい情熱があった。
その情熱が読者たる私を圧倒していたのだった。
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Author:bq69pd
以前に鳥取で大きな地震がありましたため、日本一危険な国宝とされるあれ、投入堂はしばらく見ることができないかと危ぶまれてましたが、実は今年の4月に開山されてたんですよね。危険ではありますが上がっていくと見晴らしはすばらしく、一見の価値はあるんではないかと思われますよ。私もちゃんとのぼったよ。

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