08
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ウォルター・ワンゲリン『小説「聖書」新約篇』訳:仲村明子

すごい!
とにかくすごいんだよ!
読みながら何度すごいと言ったかわからないぐらいすごいんだ!
これほど読みやすい聖書があっただろうか!
世界一のベストセラーと言われる聖書には確かな魅力が存在した!
でなければそれほど大勢の人に愛されはしない!
その魅力を誰にでもわかる形で提示したのがこの作者ではないだろうか!
少しでも興味があるならば!
いや聖書に興味などなくとも!
宗教に興味などなくとも!
本が好きなら読んで損などあるまい!?


と、
今回は熱くはじめてみます。
私自身は無神論者であることを
前々から自称しており、
今も変わらず、
宗教にすがるつもりも
さらさらないという心持ちで
通し続けています。

どうでもよいことかもしれませんが、
わざわざ言うのは、
宗教観など度外視しても、
なおこの本には読む価値があるのだと
言うために他なりません。

とりあえず感想として言えるのは、
小説として読んで面白いので
ぜひ読んでみるといいよ
といういつもながらの感想です。

**********************************
この小説は人の心をキャッチする要素を
ふんだんに含んでいると思いました。

マグダラのマリアがかわいい。
ヒロインだね。
彼女は外見がずっと貧相なままなのかと思ったら、イエス復活~出会いで一気に変わったみたい? ですね

イエスの人間性に惹かれる。
特にサマリア人の女性との描写が印象的。

あの人だ」イエスが町へむかってくるのに気づいたとたん、女は大声で言った。「あの人だ」とさけんで女は走りだした。
女はなみはずれた体格をしていた。彼女はまるで天体そのものであり、大地であり、
……
イエスはどうしていいかわからないように腕をあげかけて立ち止まった。弟子たちはうしろへさがった。世界がそこへぎゅっとつまったかのような女だった。
女はいろいろな色を塗りかさねていた。目にはみどり、頬には赤、髪には赤茶色の染料、手のひらにはオレンジ色の染料を。
……イエスにあいさつしようとよろこびいさんでかけだした彼女は、小さな足の指の一本を根っこにひっかけてしまったらしい。理由は何であれ、よろこびが彼女の顔から消えた。恐怖がみどり色にそめたまぶたをひろげた。大きな女は「先生」とさけぶと、体が地面からはなれた。「先生、うけとめて
ちょうど彼女のおちてくる位置にいたイエスは、「えっ!」とひとこと、おどろきの声をあげた。
弟子たちはそのときの彼の行動が、奇跡によるものか、あるいは生命の危機にひんしたときの馬鹿力だったのかと、何年間も議論した。
イエスは彼女をうけとめた。
正確には、彼女がおちてくるのをくいとめた。
腹を下にして女がおちてきた最後の瞬間、イエスはくるりと向きを変えてかがみこみ、落下する彼女を背中でうけとめ、前へ三歩よろめき、顔からつっぷした。……すっかり体をぬきだしてしまうと、彼は腕をまわして自分をしたう大女を抱いた。……女よ、あなたの愛は大きすぎる。あなたの愛でわたしはつぶされてしまう
泉がわきでるように、彼は長いこと笑っていた。弟子たちや、シカルの者たちもみな彼といっしょに笑い、目の前でみた山のように大きな愛にどよめいた。(pp.200-202,「……」は中略したとこ)


引用しすぎですが、
場面がありありと浮かんできますね。
これはほのぼのとしたものですが、
ご存知の通り、
イエスには過酷な試練が待ち受けています。
そこに向かう盛り上がりと
復活のドラマは
絶望への落ち込みと、
希望への上昇という
落下から上昇の激しいプロセスを経て
まさにクライマックス!

全体を通して
やっぱり人間描写が
すごくいいと思いました。(小説として
細かく描かれるから感情移入はしやすい。
弟子にしてもキャラが立ってる。

**********************************
ところで私
新約聖書ちゃんと原典ぜんぜんよんでません。
時間と根気を
ろくに持ち合わせていない
怠惰な人間ですから。
正直これ読んで初めて知った、
っていうところが
たくさんありました。
人間なんて所詮
知ったかぶりのかたまりだからね!

というわけで(?)
参考になったところをすこしまとめとこう。

・そもそもなんでイエスは死んだか
奇跡使って
ばんばん病人治して、
あちこちで人助けをしていた彼が
なぜに殺されることになったのか。

当時ユダヤ人は
ローマ帝国に支配されている状態で、
帝国がその辺の地方を
完全に牛耳ってる状態になってた。

たくさんの地域を支配してた
ローマ帝国だけども、
ユダヤ人だけには
ユダヤ人の秩序を
かなり認めてくれていた。

だから旧約からくる教え、
律法や儀式といったものを
続けられていて、
ユダヤ人はユダヤ人としての
アイデンティティを保護されていたと言える。

まぁ最後の壁とも言える
ユダヤ教を信じる権利を
かろうじて守り続けていたんだね。

それがイエスが出てくることによって、
あちこちで
形ばっかりの信心は
けしからんけしからんと説教しながら、
奇跡起こしまくるもんだから
大勢の信者が虜にされちゃった。

もしその多数の信者が
ローマ帝国の圧制が耐えられない、
と暴動でも起こしたら
唯一認められていた
ユダヤ教もなくなってしまう、
とユダヤ人の中の体制者たちは恐れた。

イエスはその人望ゆえに
暴動を起こすためのスイッチを持っていた。
ゆえに
ユダヤ人の大祭司や議員の命令で
捕まえられて、
裁判に出されて
自分を神の子だと自称する罪で磔刑になる。

イエスはイエスで
本当の救いを目指して、
体制者側としては、
ユダヤ教・ユダヤ人としての
アイデンティティを守っていくために
イエスを殺した。
そりゃ一人殺して
それまでどおりの秩序が守られるなら、
安い犠牲だろうってかんじで。

・イスカリオテのユダ
裏切り者ユダと言えば有名ですが、
この人も何で長いこと
イエスの弟子をやっといて
裏切るようなことになったのか?

彼はあまりに熱心すぎた。
イエスならローマ帝国の支配を
打ち倒せると思った。

上記の通りイエスの影響力は
もはや誰にも無視できないものに
なっていたから、
ユダは彼に英雄になることを期待した。

そうすればユダヤ人は
完全な独立を手に入れて、
世界がユダヤ人にとって楽園になると信じた。

剣の力で、
地上で勝つことを夢見たユダは、
その行動を
なかなか起こさないイエスに苛立って、
あえて大祭司・議員たちに助言し、
イエスをピンチに陥れようと考えた。

そうすれば、
彼は自分の身を守るために
戦わざるを得なくなるから。

ただ誤算だったのは
イエスには
最後までその気がなかったこと。

剣の力を
イエスは認めてなかった。
信仰第一。

結局ユダの行動によって
イエスは黄泉路一直線となって、
ユダは自分の
取り返しのつかない行動に苦しんで自殺。


説は一つに限らないことがあるので、
これが絶対でもない。

**********************************
キリスト教は基本的にマゾい。
やられっぱなし。
右の頬を打たれたら
左も出さなきゃならないらしいが、
確かに戦いを終わらせるなら
それは有効になりうる。

反撃すれば
やはり反撃が返ってきて
戦いは終わらない。
それならいっそ
自分のところで
戦いを終わらせてしまうという考えか。

しかしまあ自分の苦しみは
どうすればいいのかとなってしまう。
それを解決するのが信仰か。
普通の人には難しい。

隣人愛は要するに
人を愛せってことで、
これは人を信じることにつながる。
どんな人間も悪い人間じゃない、
そう信じて
普段から人と
接するようになれば、
いろんなことが許せるもの。
イエスだって
馬鹿弟子どもの
馬鹿を数え切れないほどに
許しまくった。

考えてみると、
やはりキリスト教は
愛の宗教だなあとしみじみ思った。
信仰はしないけど。

しかしあれだね、
無宗教・無神論者が
必ずしも強い人間かというとそうでもない。
単なる浅はかな強情にすぎないこともある。

Secret

プロフィール

bq69pd

Author:bq69pd
以前に鳥取で大きな地震がありましたため、日本一危険な国宝とされるあれ、投入堂はしばらく見ることができないかと危ぶまれてましたが、実は今年の4月に開山されてたんですよね。危険ではありますが上がっていくと見晴らしはすばらしく、一見の価値はあるんではないかと思われますよ。私もちゃんとのぼったよ。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

Lc.ツリーカテゴリー

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

検索フォーム

FC2カウンター

リンク

RSSリンクの表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。