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マルティン・ブーバー『我と汝』訳:植田重雄

「…人が存在することに責任はないと?」

「ええ、人は勝手に存在させられています。責任の所在はどこにも求められません。存在したいと思う人がいたとして、その人は存在そのものに価値を見出しているのではなく、存在することで得られるもの、欲望を満たすことと履き違えているだけです。」

「なるほど。しかし人は存在した時から既に一人ではない。親によって生まれている。そしてまず家族によって、次いで社会によって人は育てられていく。ならば人は家族や社会に負っているのではないか?」

「一理ある意見です。それは私も考えました。親によって「生まれる」というのは、その言葉からして受身であって、責任どうこうという問題ではありません。家族や社会によって「育てられる」というのも同じです。人は自分の生存方針を自分で立てて生きていくわけではありません。それに、価値観を形成する大事な時期の多くは状況に流されてしまっていると言っていい。ああ、ここではそんなことどうでもよいのでした。重要なのは存在が始まったそのときから、もう人は責任を負い損ねてしまっているということです。通常思いつくような他者との関係は、今は関係がないのです。」

「それはどうだろう、家族との関係、社会との関係は人にとって違った意味を持ち、作用があるだろう。」

「あなたがどうお思いかは別にして、私は家族も社会も他人であることに変わりはないと思いますよ。」

「それなんて「我と汝」?」


最後がやりたかっただけ
ちょっと力技入っちゃったな。

この文脈から見て、「私と他人」、
それが家族であろうと社会であろうと
同じ地平に置かれているという考え方は、
むしろ<われ-それ>の態度と言える。

「私」は、「私と私以外」を「分離させることによって、
特質の相違をあらわ」しているのであって、
「私」が「他人」と「関係すること自体」に
価値を見出したということではない。

このような「私と他人」は、
<われ-なんじ>のような「関係にはいること」を
目指す態度とはまったく正反対なのである。
出だしがどう見てもすべってますが、
もうそんなことはどうでもいいんです。
本の感想に入るのです。

現代的な資本主義とか理性信奉からくる社会的弊害への批判を、
<われ>と<なんじ>、<われ>と<それ>を軸にやってるような。
で、その閉塞を打ち破れるのは<なんじ>なんだと、
そんなかんじ?

<それ>は空間や時間の中にあって、
「経験と利用の主観」っていう、
簡単に言えば俗世、この世的なものです。

<なんじ>は空間や時間は関係ない。
あるのは無限の「いま、ここ」
過去、現在、未来っていう現在があるんじゃなくて、
ただ現在だけがあって、
ひたすら現在、現在、現在って感じ。
あるがままを捉えるっていう直観的な世界ですね。

だから超越的に、
<なんじ>とか<永遠のなんじ>を目指すんだ!!
っていうあのいつもの、
神様へ帰れ! 的な話で終わるのではなくて、
<それ>の世界と<なんじ>の世界は
二律背反(アンチノミー)で互いに
矛盾してるようなものではあるかもしれないけれど、
どっちか片方だけで済ますんじゃなくて、
両方一緒に抱きしめていこうよ、というお話でした。

日本では、
キルケゴールが単独者とか、例外者みたいな
超越的なとこ、主体性ばっかり強調してて、
じゃあ現実、社会性はどうすんのよ…
ってとこにブーバーがあれもこれもって言って出てきたから
かゆいところに手が届いたみたいに受け取られたんですって。
よく知りませんけど。

この紹介だと薄っぺらいにも程がありますので、
詳しく知りたきゃ自分で読みましょう。
岩波で160ページぐらいです。

哲学書としては読みやすい部類でしょうが、
やっぱり読みにくいです。
あれですよ、簡単な哲学書っていうのは、
白いカラスってぐらい矛盾してるんですよ。

でも分かりにくければ哲学ってわけじゃないので、
ただ分かりにくい文章を書くだけの人は、
呪ってやりたいですね。
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プロフィール

bq69pd

Author:bq69pd
以前に鳥取で大きな地震がありましたため、日本一危険な国宝とされるあれ、投入堂はしばらく見ることができないかと危ぶまれてましたが、実は今年の4月に開山されてたんですよね。危険ではありますが上がっていくと見晴らしはすばらしく、一見の価値はあるんではないかと思われますよ。私もちゃんとのぼったよ。

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