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おわり

世の中にはたくさんの本が出回っている。その中には薬になる本もあれば、毒になる本もある。毒と言っても、別にそれは単にエロ本のことを指しているわけではない。それで肉欲におぼれるとかいうのは確かに気の毒なことではあるが、そういう話ではなく、人の持つ価値観をがらっと変えたり、それまで培ってきた人生観をぶち壊しにするような話である。ある人には薬になるような本がある人には毒になるかもしれないし、逆のことが起きたり、もちろん何も起きないということだってありうる。私にとってキルケゴールの本がどうだったのか、私には分からない。ただ言えるのは、彼の本によって幸福の絶頂にまで至ったなどということはまったくなく、むしろ絶望がどうとか神がどうとか、見たくもない彼の「真理」とやらを見せられて気分が悪いといったところであろう。

哲学で人は幸せになどなれない。「真実をぶつけ合うのが、一体何になるだろう」というJ-POPソングの歌詞が流れてくるのを聴いて、まったくその通りだと思った。真実が人を幸せにしてくれるとは限らないし、そもそも真実が人間のために存在しているなどと考える方がどうかしている。哲学はひたすら「何?」を追求し、知を愛する学問である。自分が洞窟の囚人、妄想世界の住人であるかもしれないと考えるのを厭うがために、どんなに現状幸福な立場にあろうと、それに満足せず、真実やら真理やらというものを追いかけようとするのである。しかしそんなわけの分からないものを見つけ出す作業というのは、苦痛でしかない。せめて、あるのかないのかぐらいはっきりさせろと言いたい。

哲学というものを倫理や法律を作るものとして考えれば、確かに多くの人を幸せにしているかもしれない。しかしその根拠となる善悪の所在とでもいったものを考えようとすれば、一瞬にして迷宮入りである。哲学と聞いて思い浮かべるのは大抵後者の方だろうが、このような根源的、抽象的なものばかりを考えるのは不毛としか思えない。人間がこれほどまでに高度で複雑な思考能力を有しているということは、賞讃さるべきことかもしれないが、現実的には、かえってそれが苦痛やストレスを与えるものとなってしまったりするのである。


 さて、結局第3章以降こういう流れが続き、あまりに主観的すぎるような気はするが、もう過ぎたことである。長い自分語りでもやっていたような気分だ。最後にキルケゴールに直接関係するところで、利用した文献を紹介して終わろう。

・参考文献
・キルケゴール著作
大谷長
訳『キェルケゴオル選集第13巻 日記』,人文書院,1949.
大谷長
訳『キェルケゴオル選集別巻 許嫁への手紙』,人文書院,1949.
玉林義憲・久山康
訳『キェルケゴールの日記 アテネ文庫64,弘文堂,1949.
『キルケゴール著作集 第5巻』,白水社,1962より
沈黙のヨハンネス(枡田啓三郎 訳)『おそれとおののき』
コンスタンティン・コンスタンティウス(前田敬作 訳)『反復』
『キルケゴール著作集 第10巻』,白水社,1964より
ヴィギリウス・ハウフニエンシス(氷上英廣 訳)『不安の概念』
『キルケゴール著作集 第11巻』,白水社,1962より
アンチ・クリマクス(松浪信三郎 訳)『死にいたる病』
飯島宗享 訳『現代の批判』
『キルケゴール著作集 第18巻』,白水社,1963より
田淵義三郎 訳『わが著作活動の視点』
久山康 訳『野の百合・空の鳥』
 
結構読んでいるように見えるかもしれないが、見る人が見れば、何であの本読んでないの? と言いたくなるようなラインナップだろう。あまり突っ込まれると苦しいところであり、時間がなかったということにしておこう。キルケゴールは数ある哲学書の中で、読みやすい部類に置かれているらしいのだが、私が初めて『死に至る病』を読んだときはまったく理解できなかった。しかしどれを最初に読んだらよいかと聞かれれば、『死に至る病』と答えるだろう。ここから入った方がキルケゴールを見失わずに済むような気がする。分かりやすさで言えば、私は読んでないのであまり知らないが作家デビュー作となる『あれかこれか』がいいかもしれない。特にこの中の『誘惑者の日記』は、これ単体で出版されるほどで、小説のような軽さ、らしい。
日記について少しばかり。彼は生前日記をつけていたのだが、実はこの量が膨大で、デンマーク語原典では、全13巻、22冊も出ているらしい。ただ残念ながらそれはほとんど日本語訳で出ていない。
 
アンチ・クリマクス(枡田啓三郎
訳)『死にいたる病』,筑摩書房,1996.
 
第2章はこの本を中心に進めていったが、驚くべきは訳注と解説の量である。これが200ページ弱という詳細きわまるものであり、半分研究書のようなものである。キルケゴールは桝田訳が読みやすい。私はひねていたので、当初あえて避けるという愚行を取っていたが、今思えば本当に無駄なことをした。
 
・キルケゴール研究
大谷長『キェルケゴールにおける真理と主体性』
,創文社,1963.
 
キルケゴールの主体性について詳しく知りたいならこれを読むとよい。主体性という言葉がないページはないのではないかというほど主体性が出てくる。100ページ程度までしか読んでいない。最初は読めていて、非常に面白いと思ったのだが、途中から、気付くと分からなくなっていた。
 
工藤綏夫『人と思想
19 キルケゴール』,清水書院,1968.
小川圭治『人類の知的遺産
48 キルケゴール』,講談社,1979.
 
キルケゴールの生涯を考えるときに重宝した二冊。ある思想家について知りたいと思ったら、「人と思想シリーズ」、「人類の知的遺産シリーズ」はかなり便利である。前者の方が新書並の薄さで読みやすく、後者はハードブックでごつい。
 
『理想』
No.198,194911月号「キェルケゴール研究」,理想社.
同上
No.555,19798月号「キルケゴール」,理想社.
同上
No.676,20063月号「キルケゴール・今」,理想社.
 
雑誌を読むとその時代の雰囲気を知ることができるような気がする。中でも『理想』はやたらとしつこくキルケゴールを扱っている。他にもキルケゴール特集の号があるようだ。第269、360号などがそうらしい。私が最も参考にしたのは第555号である。他は1回読んだきり。

やあやあ、もう終わりですよ。
ここまで全部読んだなんていう奇特な方が本当にいるのかな?
これが私の全力ぱわぁさー。
でもこんな長々と書けたのは、
たくさんの本があったからこそですよ。
あと論文にも感謝感謝。

しかし予想以上にきつい仕事でしたな。
書いた直後は二度とやりたくねえ、と思いつつ、
また暇があれば、やるのかもしれないなあ
とか思ったり。

いや、やっぱりやらないかな(笑)

ところで註がうっとうしいかなと思うんですよねえ。
工夫の余地はあるんですけど、めんどくさくってねえ。
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以前に鳥取で大きな地震がありましたため、日本一危険な国宝とされるあれ、投入堂はしばらく見ることができないかと危ぶまれてましたが、実は今年の4月に開山されてたんですよね。危険ではありますが上がっていくと見晴らしはすばらしく、一見の価値はあるんではないかと思われますよ。私もちゃんとのぼったよ。

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