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松浦理英子『親指Pの修業時代』

最高に面白かった。
ここ数年読んだ中で、
一番心動かされた。
先が読めない面白さ。
登場人物は外形的に変わった人が多いが、
心情は至極まっとう。

主人公の一実はひょうひょうとしており、
ふわふわしており、
人につかみどころを与えない性格。
「選ぶ」ということを自らしない人。
親友だった遥子はいつも「選んで」いた。

すごく印象的な言葉があったけど
何ページかわからなくなった…。
一実は言う。
いつも「選んで」ばっかりいると、
最後には何もなくなる、と。
遥子は驚いた表情をする。

私は一実のほうに考えが近い。
あまりこだわることが好きじゃない。
こだわるな、っていうのは、
仏教が好きな考え方だと思うけど、
可能性は広がってたほうが、
道がたくさんあったほうが、
気分が楽になれる気がする。
まあ楽なほうに逃げてると言われれば、
それもそうかもしれないが。

一実と遥子はお互い考え方が違いすぎた。
それゆえ本当に心を通わすことができなかった。

遥子が亡くなってから
親指がPになってしまったことに、
関連性はあるのだろうか。

この物語は、
何も知らず、
考えずに生きてきた
一実が、
親指Pを通して
気づくようになる過程を描いた
修業の物語。

                    

さて、
この本は文庫本で上下巻と、
そこそこのボリューム。
しかし一度読み始めれば、
ほぼノンストップですぐ読めた。
やっぱり登場人物がみんな
話の分かる人っていうのは、いい。
私自身と価値観が合わないような、
むかつくような人は一実と共には出てこない。
たぶん作者の考えが、
私とそれほどずれてないから
読みやすかったのだろうと思う。

『親指P』といえば、
文芸界界隈では、
ちらほら耳にする作品かと思う。
こんな異色作品が
ベストセラーになったということは
驚くべき事態だが、
しかし実際に読んでみれば、
あまり突飛な論理は出てこない。
変わった人が多いかもしれないが、
その心情はまったく
理解に値するものばかり。
ゆえにこの本を大勢の人が、
迎え入れられたということは、
もっともなことであった。
面白いし。

性的な話のほうでは、
性器結合が目的でなくてもいい、
というのはちょっと目からうろこ。
プラトニックラブ万歳なわけでもなく、
一過程に過ぎずとする。
これは同性愛の正当化論理に使えるだろうか。

「仲良くする」程度の認識しかない人もいたが、
個人的には今の世の中、
性行為があまりに
神聖視されすぎかとは思うので、
そこまで簡単にならなくてもいいけど、
仲良く楽しくやりたいということで、
行為を最初から最後まで
快いものにすることはよいことだね。

「皮膚感覚的な快楽」は、
もっと評価されていい。

そういえば、
上巻の最後に解説があるけど、
盛大なネタバレをかまされて、
ショックを受けた。

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