09
1
2
3
4
6
7
8
9
10
11
13
14
15
16
17
18
19
20
21
23
24
25
26
27
28
29
   

『経済学的思考のセンス』大竹文雄、『痛快! 経済学』中谷巌

今回は、経済学の入門書2冊。

大竹文雄『経済学的思考のセンス』

経済学的思考のセンスが何なのか、
簡単にまとめると、
インセンティブと因果関係・相関関係
この2つ。

こう聞いて、ああもう分かったという人は、読まなくていいと思う。
全部で4章あるけど、最初の2章はそれについて、
具体的なケースを紹介してるだけ。
私も途中で読んでて飽きてきた。

まあ、スポーツや男女についてなど色々あるので、
お酒の席などで披露するネタにはなるかもしれませんね(笑)

この人は労働経済学が専門らしく、
第3,4章は雇用が中心になってる。

年金はねずみ講
格差とか不平等とかって何? 悪いの?
年功賃金、成果主義

このあたりの言葉が気になった、軽く知りたい、
そんな人は読んでみてもいいんじゃない。
そこそこ説明されてる。

全体的に見て、一つ一つが軽い。
ああ新書かって感じ。
深く追求したい人は読まなくていい。
逆に軽く知りたい人は読んでもいい。

中谷巌『痛快! 経済学』

著者は元新自由主義者として有名だけど、
この本は「転向」する前に書かれた解説書。

さすがにマクロの教科書を書いてるだけあって、
中身はしっかりしてる。

マーケット大好き!
みたいな記述が目立つけど、
それ程おかしなことは言ってないと思った。

新自由主義って言っても、
内容はアダム・スミスの言ってたことの焼き直しみたいなものらしいし、
要はその使われ方がまずかったということなのだろう。

考え方として正しかったとか、間違っていたとか、
そう簡単に結論の出せる性質のものではないと思う。

この本の対象者は経済知識が全然ない素人らしい。
中学生や高校生が読めるように書かれているらしい。
確かに読みやすいし、学生向けの教科書としてはいいと思った

ジョージ・オーウェル『一九八四年 新訳版』 訳:高橋和久

もう二度と読みたくない本かな。
つまらんとかそういうことではなく。

人間はここまで愚かになれるのだろうか。
本当に平等な世界などやってこようはずがないことを予感させる
そんな本だった。

社会主義や共産主義はソ連が崩壊したことで、
それ自体が間違っていたものとして考えられがちだが、
私の知る限り、思想家たちが夢想していた
本当の社会主義などというものは
一度たりとも存在したことはなかった。

あったとすれば、それはこの本の中に出てくる
イングソック(Ingsoc)、イギリス社会主義(English Socialism)の
パチモンに変わりなかったろう。

本当の社会主義、共産主義というものは、
人間には恐らく実現不可能だと思う。
いくらみんなが平等にと言ったって、
そこでは全ての人にとって裏切りのインセンティブが存在している。

戦争がなくならないのと一緒だ。
全ての国がいっせいに武器を捨てたとして、
どこか一国でも武器を隠し持っていれば、
そこで世界はその一国に支配されてしまいかねない。

もし本当に社会主義を実現させたいなら、
全てを機械にでも管理させないといけないだろう。
ただ、それを試すだけの度胸が我々にあればの話だが。


感想はこれぐらいにして、と。

訳者あとがきによると、
この本が、イギリスで「読んだふり本」第1位なのだそうな。
確かに読むの時間かかるしね。
私も大変だったよ。

そんなわけで、大事そうなところをピックアップしてみましょう。
ちなみに私が読んだのは、
ハヤカワepi文庫から2009年に出版されたものです。

それを踏まえて、
まずはビッグ・ブラザーに対立する立場にある、
ゴールドスタインなる人が書いたという設定の
『寡頭制集産主義の理論と実践』です。
ページ数で、p.285-p.332ですね。
何気にここだけでかなりの部分が理解できるような気がしなくもありません。

それからオブライエンとウィンストンの議論も見ておくといいでしょう。
第3部の2節と3節にあたります。50ページぐらいかな。

まだ余裕のある人は、付録の「ニュースピークの諸原理」を。
18ページあります。

小説には興味ないという人は、ここにあげた部分を読んでおけば、
だいぶ知ったかぶりが出来るでしょう(笑)

それにしても初版のせいか、やたら誤植が多い。
特にp.504にある解説の「真理省」は「愛情省」の間違いだと思うんだけど。


最後に、党のスローガンについての覚書

戦争は平和なり
自由は隷従なり
無知は力なり

これがなかなか理解できなかった。


・戦争は平和なり(『寡頭制集産主義の理論と実践』参考)
これには二つの意味がある。
一つは、一般の党員の理解。
もう一つは、本当の、党中枢の理解。

この世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアという
3つの勢力に分かれており、
常にこの3勢力間で、「戦争」が行われている。

一般党員の理解は(多分)簡単。
やらなきゃやられるってことだろう。
戦うことで自分たちの国を守り、安全を守るということだと思う。
それで、戦争は平和だということなんだろう。

そして本来的な意味だが、これが厄介だ。
戦争が平和であるというのは、(恐らく)権力者にとっての平和である。
この3勢力は、実際にはどこも同じような体制なのであり、
「戦争」の目的は、消費物資の余剰を破壊することにある。

技術革新によって、富の総量が増えてきたため、
その分だけ人々が教育を受ける余裕を得るようになる。
それは権力者にとって非常に厄介。
したがって、戦争を行うことで富を破壊し、
常に生活のレベルを困窮状態にとどめるのである。

例えば浮動要塞1隻作るのに、数百隻の貨物船が作れるという。
最終的にその要塞は破棄されるが、
それは人々になんらの物質的利益を与えない。
つまり本来得られたであろう数百隻の貨物船の持つ利益
完全に失ったことになる。

こうすれば、人々は常に働き続けざるを得ず、教育を受ける暇もなく、
ただ子供を産み、死ぬだけの装置となる。

そして全ての勢力がこのような思考の下で
「戦争」を行っているのであり、
勝敗については全く重視されていない。
勝ち負けのない戦争を延々と続けているわけだ。

党はこの欺瞞的な「戦争」を行うことによって、
自らの平和を享受しているということになる。


・自由は隷従なり(p.409参考)
オブライエンが言うように、
隷従は自由なりと言い換えても問題はない。
個人としての我々は、いつか必ず死ぬ。
それは必ずやって来る最大の敗北である。

しかしその敗北を免れる方法がある。
個人のアイデンティティを脱却し、党に自らをゆだねることである。
党は永遠であり、自分が党そのものになれば、自分も永遠だということ。

馬鹿馬鹿しい。


・無知は力なり
馬鹿でいる方が楽とかそんなん。

もう力尽きた。

ちょっとだけ二重思考(ダブルシンク)について。
ある写真について、それを忘れたとする。
さらにその忘れたことを忘れる。
しかし本当に必要になったときには、またその写真の情報を取り出す。
(p.382)

また、二重思考という言葉を使っているときも二重思考を使う。
その言葉を使うことが現実改変を認めることになるから。
二重思考に二重思考を重ねることで、全てを消す。
二重思考という言葉を、二重思考を用いて忘れる。
(p.329)


もうあんまり読みたくないから、
出来る限りまとめようかと思ったけど
無理だわ。

『ワールド・トレード・センター』(2006,アメリカ)

ネタバレ注意

続きを読む

『おくりびと』(2008、日本)

職業に貴賎なし
とかいう言葉を思い出した。
思い出しただけ。

葬儀関係の事情については詳しくないけど、
彼らをそれ程毛嫌いし、汚らわしく思うのはなぜかね。
死肉をついばむハゲタカみたいなもんでも連想するのかね。

そう思うのは勝手だけど、思ってるほうも自分勝手だよね。
「汚らわしい」と思う仕事を人にやらせといて、
どの口で悪し様に言えるというのかね。

しかし、実際自分があの仕事を出来るかというと、自信ないわ。
あの重すぎる空気に耐えられる自信がない。
あの空気と視線の前で、よくあんな仕事できるもんだ。
恐怖だよ。
ミスったら棺おけがもう一つ増えるんじゃねえかって。
それは冗談にしても、責任が重い。

それから、この映画を見て、
なにやら死を身近に感じたというか、怖え~と思った。
自分の死よりも、他人の死が。
人の葬式とかに行くとよく感じるタイプのあれよ。

自分の生き方にそれなりに満足しており、
自信があるはずなのだが、
どうも不安にさせられた。
困ったことに(笑)

そういえば、チェロがいい感じだったね。
花を添えてるっていうか、アクセントっていうか。
なんといえばいいのかな。
全篇通して遺体眺めてることにならずに済んだねって感じかな。

『今こそアーレントを読み直す』仲正昌樹

アーレントの言うことはどっちつかずで中途半端だから、
読者の求める答えが得られにくいかもしれないとのことだが、
少なくとも私には有用で、
スッとするような一つの答えが得られたように思う。

                                          


民主主義的なものが本当に実現していた時代、
古代ギリシアで人々が
「利害関係から自由にポリスの共通善のために討論」
していた時代があった。

この時代では、どの家も奴隷を抱えていた。
経済的なことも含めて、
家のことを任せておけるような召使みたいなものが各家々にいた。

そして主人たる「自由人」という階級にある「市民」は、
利害の呪縛から離れたところで、
純粋に、ただ議論し、日々その腕を磨いていた。

そこでは、
議論は多様性や深みを増すための余地が大きく広がっている。

                                          

翻って、今の時代はどうだろう。

もはや労働を自分の代わりに引き受けてくれる奴隷は存在せず、
自らが働かなければ、日々の生活はままならない。
私たちは皆、利害関係に縛られ、
「マトモな人間性」というものを保つのが非常に難しくなっている。

いくら民主主義だといっても、
直接、間接、問わずそれで利害関係から逃れられるわけではない。
そして今の「代表」というのは、
地域や職種や人種といったものの「利益代表」なのだ。

雇用、貧困、格差、環境など様々な「問題」というのは、
利害関係と密接なものであり、
こういった諸問題を公正に取り扱うことは不可能。
また、同じ利害関係にある人間同士は繋がり合い、
集団同士の対立が常態化する。
「人々の行動が、『経済』的利害を中心に均一化される」

各人が集団の中に埋没し、個性を失っていくことによって、西欧世界の伝統的な意味での「人間性」は徐々に崩壊していく。統計学的に行動が予測できてしまうとすれば、「人間」というより、動物の群れである。(p.106)

                                          

要約じみた文章になってしまった。

最近私が考えていたことを、
この本が代弁してくれたので、かなり助かった。

誤解してもらっては困るのだけれど、
昔みたいに奴隷を使って自由になろうぜ!!
などといったことを考えているわけではないので、
そこのところはご了承いただきたい。

実際、利害関係から離れてたっても、
おばかな市民が煽られることはあったし、
衆愚政治もすでにこのときから言われてたからね。
上で挙げた時代というのは、
いわばパラレルワールドのようなものなのかもしれませんな(笑)


あんまり関係ない話だけど、
奴隷ってのも案外考えようによっては楽そうなものであったりする。
私から見たら。
特に戦争に参加しなくていいあたりなんかが。
市民は全員参加だからね。
それに家の奴隷も仲が悪いとかでもなけりゃ、
そんなに大変そうでもないし。
まあだからといって、
当時の人たちも奴隷の立場のほうがいいと思ってたってわけではなし。


そうだ、この本はとてもいい本だと思うので、
もし興味があればご一読いかがか。
新書はもう二度と読まないで、売るか捨てるかするつもりなため、
普段はいちいち本に書き込みなどをしない私が、
読みながらペンを取った珍しい一冊(笑)
さすがにアーレントを読んでいる人にとってもいい本かは分からないよ。

『図解 資本論』久恒啓一

労働者への賃金は、雇っている以上、
彼らがまじめに働いていようと、
ちょっとサボったりしていようと、
それなりにきちんと支払っていかないといけない。
しかし雇っている側としては、
払う賃金に差がないのであれば、
当然、彼らには出来るだけ長く、まじめに働いていて欲しい。

今の日本は需要が不足しているから、不景気だと言われている。
供給>需要 になっており、供給の方が多いのだと。
デフレもこれである程度説明される。

しかし、考えてみると、
供給の方が多くなるのは当然というか、
何となく分かるような気がしなくもない。
特に今の日本を考えると。

雇用者(雇い主)は、際限なく働かせたがるので供給は増す。
しかし需要はと言うと、色々な制約があって厳しい。
単純にお金がないとか、食事なら一定量で満腹になるとか、
はたまた消費する時間がないというのもある。

リーマンショックのあと、
製造業を中心に、一時帰休などの措置がとられたが、
一方で、仕事はなくても無理やり働かそうとする会社もあった。
どうせ休ませても、給料は払う必要があるからだろう。

暇な社員に、社内の掃除をやらせる会社などがあったなあ。
ああ、別にそれが悪いというわけではないのだけど。

閑話休題、
この需給バランスを何とかせにゃならんということなのだが、
それがなかなか上手くいかない。

供給を増やせば、
需要も続いて増えるというのが、
従来のお偉方の考えであり、
労働させるための一つの方便でもある。

作れば売れる!

これで正しいと言えた時期もあったが、
今の景気を考えると、そろそろ無理のありそうな論理。
前時代的なお題目。
いらんもんはいらん。

                                   

最後に直接的な本の感想

マルクス『資本論』解説だけど、
あんまりいい本ではない。
読み始めてすぐに買ったことを後悔した…

分かりやすいか、分かりにくいかで言うと、
分かりにくい。

『資本論』をこれ1冊で済まそうとしてる人へ
非常に狭い見方を持ってしまう恐れがあります。
また、これ1冊で分かることは非常に少ないと思われます。
知ったかのためですら危険です。
逆に自分の無知を晒すはめになるかもしれません。

『資本論』について他にも本を読む気がある人へ
わざわざこの本を選ぶ理由は薄いです。
もし原著にまであたるのなら、そちらに時間をかけるべきです。


実は最初はもっと批判中心の文章を書いてたんだけど、
ある程度書いて読んでみると、
ちょっとなあ…という感じに。

あんまりぐちぐち批判するのは好きじゃないし、
もう書くのやめようかなと思いながら、
本を再度眺めてたときに、
思い浮かんだのが上の感想です(笑)

よかったよかった

追伸
マルクスさんは赤色がお好きだったそうなので、
赤色をちりばめておきました。

だから、共産主義赤いのか!
と思ったそこのアナタ

別にそんなんじゃないみたいですわよ。
フランス革命で赤旗掲げたあたりが起源のようなのですってよ

プロフィール

bq69pd

Author:bq69pd
年が明けたと思ったらすでに春が来ていた。次の更新が夏にならないことをお祈り。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

Lc.ツリーカテゴリー

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

検索フォーム

FC2カウンター

リンク

RSSリンクの表示